Coaching

コーチング事業

営業コーチングスキル:上司の肩書を利用させる

Pre-Call(商談前打ち合わせ)で行う事」の5番目に「上司にして欲しいことの確認」というものがあります。これはほぼ日本では見られないスキルです。しかしアメリカの営業マネージャーは非常に効果的にこれを行っています。

みなさんが若い頃上司と同行する時、どんな気持ちを感じていましたか?

研修で皆さんに聞くと、多くの方は「緊張」「怖い」「叱られる」「早く終わって欲しい」「失敗しないか、どきどきする」などと言われます。

しかし「同行を活用する」でも記しましたが、同行は部下のあやまちを一方的に指摘する場ではありません。このように部下をどきどきさせてはいけないのです。「部下のモチベーションを上げ」「スキルを伸ばして稼げる人材に育成する」のが目的です。つまり「今日は何を教えてもらえるんだろう?」とわくわくさせる同行を行うべきです。

同行は上司にとってもこの目的を果たす「最高のOJT(on the job training=現場指導)の場」です。

しかし部下がこのようにドキドキ、緊張した心持で同行しても効果は半減します。そこで「上司にして欲しいことの確認」はとても効果的なのです。

上司から「さて、今日の商談の目的も資料もゴールも確認できた。私は今日、何をすればよい?私に何をして欲しい?」と聞いてみましょう。部下は多分、改まってこのようなことを聞かれるのは初めてと思いますから、戸惑う事でしょう。何よりも「上司に任せて今日はゆっくりしよう」と考えている不埒者(ふらちもの)も結構みかけます。実際にこの質問をすると不真面目な営業担当者は「いえ、課長にお任せします。私は今日は何もしないでじっとしています」など言う人もよく見かけます。

これは冗談ではなく、多くの部下が本気で「上司同行時は手抜き」をします。

それほど部下は上司同行にあたっては「上司に任せて何もしない」どころか「上司に何をしてもらおうか?」など、自分主導で考える事をしていません。ですから「私は今日、何をすればよい?私に何をして欲しい?」と聞かれると、ほぼ全員が動揺します。そして考えたあげくお願いすることは「えっと、私が言葉につまったら助けて下さい」です。

これは何とも上司としては情けない話です。この言葉は「部下が上司を会社の代表とみなしてくれていない」事を表しています。もし上司の役割りを理解しているのならば、もっと「会社を代表した」あるいは「営業担当の自分より高所に立った情報提供・提案をしてください」など、具体的にお願いするはずです。

アメリカの営業マネージャーは、格好良く次のように聞いてきました。「私は君のボスだ。肩書はDirector(部長以上の責任)だ。この肩書を今日の商談で、君はどう利用したい?」なかなか言えないですね。初めてこの言葉を聞いた時、「格好いい!」とほれぼれとしました。

「私は今日、何をすればよい?私に何をして欲しい?」という質問をすることで、部下に対して「私の価値をもっと認識してくれ」と伝えることができますので、部下は目が覚める思いで同行に臨むことでしょう。

 

この記事の詳細を「3000人の営業同行の現場から」(Amazon電書籍Kindle。税込み各1,100円)にてお伝えしています。パート1は営業スキル、パート2はコーチングが中心に記されています。「Kindle Unlimited(読み放題)」を選択されている方は、無料でお読み頂けます。