Coaching

コーチング事業

コーチングスキル:Pre-Call(商談前打ち合わせ)で、できていない事

営業力を強める効果的な同行の方法:Pre-CallとPost-Call」で「商談前と後で下記の事を行う」と記しました。

①訪問先情報の確認
どこへ行くのか?誰に会うのか?相手の肩書は?現在の取引状況?進行中の案件はあるのか?

②今回の目的
何をしに行くのか?商談か?報告か?クレーム対応か?進捗確認か?

③資料の確認
目的に合った資料か?上司の目から見てそれらは適切か?数字は間違いないか?

④今回のゴール
「②目的」との違いは、こちらは「具体的な成果物」です。例えば「相手から来期の具体的な案件を頂く」などです。

⑤上司にして欲しいことの確認
部下が上司に「今回の商談でどのような役割を果たしてほしいと思っているか?」の確認です。

営業同行をしていますと、この中で①②については比較的、話し合いはされているように感じます。それは上司にとってもこれらの情報がないと「何をしに行ったのかわからない」事になるからです。しかし、ほとんどの場合、③「資料の確認」と④「ゴールの確認」、⑤「上司にして欲しいことの確認」は行われていません。また②の「目的」と④「ゴール」は両者の違いが理解されていません。

みなさんはいかがでしょうか?

上に記しましたように「目的」は、「何をしに行くのか?商談か?報告か?クレーム対応か?進捗確認か?」を確認するのに対し、「ゴール」は、「具体的な成果物」です。例えば「相手から来期の具体的な案件を頂く」などとあります。

毎年年末の営業同行では「お歳暮を届ける」と言うイベントが入ってきます。この時の「目的」と「ゴール」について話し合うととても面白いことがわかります。Pre-Callでの営業担当との会話はこのようになります。

・池田「〇〇産業での目的は何ですか?」
・営業「お歳暮を届けて、年末のご挨拶をすることです」
・池田「ツールは?」
・営業「カレンダーとワインです」
・池田「ではゴールは何ですか?」
・営業「課長が一緒ですので、人間関係を強めてもらいます」

さて、これはゴールになっているでしょうか?

研修でここまで話してから「みなさん営業の責任とは何でしょう?」と質問します。すると「売り上げを上げることです」とみなさんが答えます。そうですね。それができないと営業担当者としては失格です。「商談のゴールとは、まさに売り上げを上げる事」なので「お歳暮を届けて人間関係を強める」はゴールに直結していません。

意外にもマネージャーの方々でもこの「お歳暮を届けて人間関係を強める」というゴールに納得してしまいます。実際に現場に行き、品物を渡し、雑談して「では来年もよろしくお願いします」とあいさつして終わってしまうのが年末の挨拶で最も多いパターンです。

では、「年末のご挨拶」にはどんなゴールを設定すべきなのでしょうか?研修でこの話し合いをすると、みなさん悩みます。しかし最終的に例えば以下のような答えが出て参ります。

「来年度の案件をもらう」「来年の売り上げにつながる情報をもらう」
などです。

営業は常に「売り上げを上げる」事をゴールにした商談をしなければなりません。アメリカ式営業スキルを学ぶ前の私は「商談で喋って相手に感心させればOK」といった変な誤解をしていました。相手が適当に相槌を打っているのに気づかず、一人で知識を披露して喋り続け、「素晴らしいですね」「さすが専門知識が豊富だ」と感心させれば営業活動をしたものと錯覚していました。実際に売り上げが上がらなくても、自分は一人前の営業だと勘違いしていたのでした。

ある営業マネージャーの方から研修後にお聞きした話しです。
「あれから毎朝課員全員で『本日の商談ゴール』を確認してから出かけるようにしています。最初はみんな適当なゴール設定でしたが、目的意識をしっかり持てるようになってきたので、今は会議で言わせなくても自分からゴールを私に告げて行くようになりました。その結果、数字に対する責任感(コミットメント)がとても強くなり、うちの課はその月から毎月目標を達成できるようになっています。短期間でものすごい変化を見ました」

全員が理解すれば、このような変化をすぐに見ることができます。

売れなければ営業担当者としての価値はまったくありません。このアメリカ式営業スキルは、個人のスキルを強め、営業マネージャーのコーチングスキルを短期間で強めてくれます。ぜひ、お試しください。

 

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