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2019.08.13営業スキル関連

相手のニーズを探る「プローブ」という営業スキル

営業スキル:一人で喋り続ける営業は嫌われる」という記事で「プローブ」につい簡単に記しました。
プローブとは、みなさんがご存知の営業スキルで言うならば「相手のニーズを探る」に当てはまります。
しかし、プローブはそれよりももっと実践的で効果的な手法です。
研修でこのスキルを2時間ほどかけて実例を含めて紹介し、参加者に考えていただくと「今までの自分は、全くと言ってよいほど相手のニーズに無関心だった」と驚かれます。

「商談相手のニーズを探るのは営業の基本である」と、みなさん知っていますが、上記の「営業スキル:一人で喋り続ける営業は嫌われる」 では「新商品紹介では、相手がこの商材が必要としているかどうかを探らずに、いきなり説明を始めている」と記しました。
「自分はそんなことはしていない」と言う方が多いのですが、気がついていないだけの方がとても多いのです。

研修で「ニーズを探るためにどのようにしているか?」と聞くと、ほとんどの方が「質問をする」と答えます。
そうですね。「相手が何を求めているのか?」「普段どのようなものを使っているのか?」「今、何に困っているのか?」を聞き出すには、質問が一番です。
次に「何回くらい質問しますか?」と尋ねると、「必要に応じて質問する」とみなさん答えます。

これがほとんどの場合出来ていないのです。
最初の1回、もしくは2回程度は質問をしますが「自分の望む答え」が得られたら質問は終わり、その答えに合わせた売りこみを始めてしまいます。
例えばこのような具合です。

営業: 普段のお仕事で〇〇のような事でお困りになる事はないですか?
相手: うん、あるね。
営業: 実は今日お持ちしたのは、それを解決する機器なんです。

質問内容は良いと思います。「相手のニーズに合った商品を持ってきたぞ。よし、今日はこの商材を推していこう」と商材の説明を始める事が出来ます。
ところが、それで安心してしまって、それ以降の質問を止めてしまうのです。
もしかしたら相手は次のように感じているかもしれないのです。

相手: へえ、それは楽しみだな。どんなもの?
営業: これは〇〇の時にこのように使ってもらえると効果的ですし、経費削減に役立ちます。何よりも取りつけも簡単ですし、初期費用も今までと比べて格安です。
相手: (あ、これか。他社製品でもう使っているものだ。今頃持ってきてもなあ・・)

つまり相手は既に他社製品を使っていて満足しているので、興味を失っているかもしれないのです。
それなのに営業担当者は、最初に「ニーズがある」と確認したため、張り切って紹介をしています。
これでは両者にとって無駄な時間になってしまいます。
そこで必要なのが「今この瞬間、相手はこちらの説明をどう感じているか?」を探るプローブなのです。

通常の「ニーズを探る」スキルでは、ほとんどの方がこの「現時点での相手の気持ち・心理」を探ることを忘れてしまいます。
従ってこのようなケースを想定して、「ニーズがある」と分かっても次のようにプローブを繰り返します。

営業: 実は今日お持ちしたのは、それを解決する機器なんです。この機器についてお聞きになった事がありますか?
相手: あ、あるよ。
営業: どちらでお聞きになりましたか?
相手: A社のものを既に使っているよ。

このようなプローブをすれば、早い段階で相手が競合品を既に使っている事がわかります。
そうなると「新商品紹介」アプローチではなく、「競合品との差別化トーク」に切り替えなければなりません。
ここで焦らず、更にプローブを続けることで「満足しているのか?」「満足しているなら、どこが気に入っているのか?」「何か問題を感じているのなら、どのような点か?」といった情報を得る事で、差別化のネタを見出す事が出来ます

多くの営業はこれらのプローブをせず、いきなり「今日は新商品を持ってきました」と説明し、ひとしきりしゃべり終わってから「いやあ、もう他社のを使っているよ」と 宣言されてしまうので、ショックを受けてしまいます。
優秀な営業の方はここから、上記の質問を始め「差別化トーク」に展開出来るでしょうが、経験不足な営業担当者はショックを受けてしまうと、立ち直りが難しいでしょう。

このようにプローブにはいくつかのスキルがあります。
これについては別の記事でご紹介しましょう。


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