Blog

ブログ

2019.08.09コーチングスキル関連

営業スキル、マネージメントスキルを認識する

ある営業課長が部下から「どうしたら課長のように初対面の人とでもすぐ仲良くなれるんですか?」あるいは「課長みたいなコミュニケーション能力を身につけたいんです」と質問されました。課長の答えは「僕、なぜか知らないんだけど、人に好かれやすいんだよね」というものでした。
さあ、部下はこの答えから何を学ぶでしょうか?

営業同行をしていますと、このような場面に非常によく出会います。
部下はこの答えから「初対面の人と仲良くなるための方法」「コミュニケーション能力を高める方法」を学ぶことは出来ません。
しかし上司のアドバイスの多くはこのように曖昧なものなのです。

「人に好かれやすい」はスキルではなく、性格やその人の持つ雰囲気でしょう。それを部下は真似しようとしても難しいです。
部下は「課長は人に好かれるなあ」と感じ取っているはずです。しかし「どうすれば人に好かれるか」が横で見ているだけでは、分かりません。
上司にしてみれば「そんなこと聞かれても分からないよ。勝手にできてしまうんだから」という訳で、部下に教えようがありません。

先日の同行で「マネージャー、あなたの得意なスキルは何ですか?」と聞いたところ、しばらく考えて「頭の回転が速い事です」と言われました。
この方は確かにそうです。とても頭が良いのです。しかしこれもスキルではありません。部下にしてみれば「どうやったら頭の回転が速くできるんでしょう?」と悩んでしまうでしょう。

そこで部下の方に「あなたの上司であるマネージャーの強みは何ですか?」と聞いてみると「どんな問題でもすぐに解決してしまう。てきぱきとあっという間です」と言いますので、「これはスキルですね。どう言う名前のスキルだと思いますか?」とみんなで考えてもらいました。
最終的に「問題解決スキル」となりました。
それを聞いていたマネージャー自身は「そうなんだ・・。私はそれができているんだ・・」と感じ入っていました。
「頭の回転の速い」このマネージャーは対応力があるのですね。しかしそれが「問題解決スキル」と今まで認識した事がなかったのです。

漠然と感じている自分のスキルを「言葉にする」「部下に分かりやすいスキル名にして説明する」事は慣れるまでは簡単ではありません。
しかし、「抽象的な事柄も部下に分かるように、説明する」事、これはコーチングの基礎なのです。

自身のスキルは何なのか?自分はどんなスキルを使っていつも業績を上げているのか?部下に教えるべきスキルは何なのか?
これらを考える事はとても大切です。なぜなら常に自身のスキルを意識する事で「よし、今日はこのスキルを使って商談をまとめるぞ」とする事が出来るからです。
自身のスキルを認識していない人は、「日によってうまく行くこともあれば、まったく上手くいかない時もある」と成果にムラがあります。
それはいつも「たまたま上手く行っている」だけなのです。

しかし一度「自分の得意技・スキルはこれだ!」と認識できると、そのパターンに「はまる商談」になれば、一気に成約する事ができます。
スキルを認識していない人と、している人の差はとても大きいです。
この事から外資系企業の中途採用面接では「あなたのスキルを5つ言ってください」あるいは「あなたのコンピテンシー(スキルの中で一番業績を上げているもいの)は何ですか?」などの質問がなされるのです。
それにすらすら答えられないと、採用は難しいでしょう。

自分のスキルを認識している人は、常にそれを「積極的に活用」します。そうでない人は、スキルを使いようがありません。「自分にそれができる」と知らないからです。

さあ、ご自身のスキルを紙に書き出してみましょう。書けない方は同僚や部下に聞いてみてはどうでしょう?「私が商談の時に一番使っているスキル、って何だと思う」



この記事の詳細を「3000人の営業同行の現場から」(Amazon電書籍Kindle。税込み各1,100円)にてお伝えしています。パート1は営業スキル、パート2はコーチングが中心に記されています。「Kindle Unlimited(読み放題)」を選択されている方は、無料でお読み頂けます。