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営業支援事業

営業の商談で聞き上手になる簡単な方法

 

多くの営業担当者が苦労するのは、商談中相手の言葉をじっくり聞くというリスニングです。
殆どの症例で相手の言葉を聞き逃してしまう、いわゆる「スルー」を見かけます。
これを失くすだけで、商談の成約度は画期的に向上します。
上司同行時、上司ですらスルーしてしまいます。キーワード、特に「買う気サイン」をスルーしてしまいますと、大きな損失になります。

スルーをどうやって失くしていけばよいのでしょうか?

営業で相手の言葉をスルーしてしまう」ことについて別のノートに記しました。みなさんはお友達との会話や飲み会で「自分の話題がスルーされた経験」はありませんか?

この質問を営業研修ですると、まず全員の方がうなづきます。そして「どんな気持ちがしたか?」と聞くとみなさん「さみしい」「辛い」「いたたまれなくなる」「恥ずかしい」「こちらの当惑顔を見られるのがとても嫌」などの生々しいコメントをおっしゃいます。みなさんも同じ経験がおありだと思います。

次に「スルーされた話題をもう一度、出しますか?」と聞くと、大半の方が「出さない」と言い、理由として「またすべるかもしれないから」と答えます。しかし1割程度の方からは「もう一度出す」と言い、理由として「どうしても聞いてほしいから」「自分の必殺ネタが玉砕するはずがない」「このネタで受けてみんなにちやほやされたい」など、とても前向きなコメントが聞かれます。

みなさんはどちらですか?

今度は相手の立場に立ってみましょう。営業の私達がお客様のコメントをスルーしたら、お客様はどう感じるでしょうか?次のような場面を営業現場でよく見かけます。

・営業「新商品の紹介をさせて頂きます・・・(説明途中で顧客がコメント)」
・顧客「いいじゃない、これ。使えそうだね」
・営業「ありがとうございます!さらにこれには特別な機能がついています」
・顧客「ふうん」

スルーがありましたね?
その商品の説明が終わった後、顧客がそれに興味を示すことはありませんでした。

企業研修では「その会社で同行した時の具体的な商品名を用いて相手の話し方をまねて」私はスルーの現場を紹介します。するとみなさん笑います。みなさん「あるある」と思うからでしょう。次のような場合は爆笑されます。みなさんも笑うと思いますが、「そこまでひどいケースはないんじゃない?」とか「池田さん話、盛っていません?」と言われます。しかしこれは私が実際に見たケースです。

・営業「最近、お仕事はいかがですか?」
・顧客「オリンピックで忙しくなってきたね」
・営業「ほう、オリンピックですか!すごいですね。今日は新商品のカタログを持ってきました」
・顧客「・・・」

見事にスルーしていますね。次のケースはもっと強烈です。

・営業「最近、いかがですか?」
・顧客「うん、新しい事始めようと思っていてね」
・営業「ほう、新しい事ですか。素晴らしいですね。実はうちも新しい事と言う事で、新商品を持ってきたんです」
・顧客「・・・」
・営業「これがそのカタログです・・・(5分ほど話す)・・」
・顧客「さっき言いかけた新しい事なんだけどね・・」
・営業「あ、すみません。もう少しで終わりますので、もうちょっと話していいですか?」
・顧客「・・・」

今回は2回もスルーしています。ありえない、とみなさん思われたのではないでしょうか?しかしこのようなケースが実に多いのです。

顧客は営業にスルーされると、居酒屋でみなさんが感じる「スルーされた」「すべった」以上の強い気持ち、たとえば「失礼な人だな」「なんだよ、せっかく情報提供しようとしているのに」「もう二度とこの話はしてやらん」など、非常に険悪な気持ちを感じてしまう事を覚えておきましょう。最悪は上司を通して「あの営業は人の話しを聞かないので担当を変えてくれ」と言われることになります。

二番目のケースは続きがあります。二回もスルーされた顧客は専務の肩書をお持ちでした。すっかり「むっとした様子」でその後のお話はほとんど反応がありませんでした。次のアポがあるので、こちら側から「失礼します」とその場を辞し、我々が玄関で靴を履いていると、奥から社長が出てこられました。私だけが初対面だったので、その場に残って名刺交換をしました。その時「これから新しい〇〇分野のビジネスを始めるので、よろしくお願いするよ」と言われました。とても大きなビジネスチャンスで、私は「先ほどから専務はこの話をしたかったんだな」と気付きました。既に外に出ていた営業役員と営業担当に追いつき、その話を伝えました。さすがに「そう言えばそんな話をされていた・・」と思いだした彼らは真っ青になり「戻ろうか・・」「お詫びは早い方が良いから・」と話していると、当の専務が私の忘れ物である手帳を持って駐車場まで来られました。こちらの二人はすぐに先ほどの非礼を詫び「あらためてそのお話を聞かせて頂きたいのですが」と申し出ました。専務の答えは「ああ、あれね。もういいんだ」でした。

この事例から「営業にスルーされた顧客は、二度とその話題を提供してくれない」と言う事がわかります。

別の事例でも同じことが分かります。

商談でバイヤーに10の新商品を紹介していました。伝える事はたくさんあるのに時間は限られていたので、どうしても駆け足気味のプレゼンになりました。最初の商品を紹介した時「いいねえ、これ。気に入ったわ。メモには10ケースと書いてあるけれど、もう少し行けるんじゃないかな?」とバイヤーが食いついてくれました。
しかし営業担当は、次の商材の説明に気持ちが既に向いて居て「ありがとうございます。それでは次の商品ですが・・」と、バイヤーのコメントをスルーしてしまいました。
10の商品の紹介が終わった後、バイヤーから「最初の商品だけど・・」と話してくれる事はありませんでした。

最後のケースもとてもよく見られるスルーです。

 

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