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営業支援事業

アメリカのトップ営業が用いる営業話術: イメージ&ストーリー

<この商材についてお聞きになった事がありますか?>

 

ほとんどの営業マンがおかしている大きな間違いは「相手がその商材について何か知っているのか?」を確認しないまま、商材の紹介を始めてしまう事です。
「その商材についての相手の認識度」を確認する事で「相手の課題が何か」がわかるので、適切な紹介が出来ます。

あなたの商談相手は、その商材を「既に知っている」「他社製品で試した」「見たくもない」かもしれません。
もし最後の印象を持っていれば、この商談の進め方は相当慎重にすべきです。

このように「相手がどんな反応をするかは、相手の認知度次第」です。それを確認せずに商材紹介をする事は大きなリスクです。
それを避けるためには、最初の言葉は「この商材についてお聞きになった事がありますか?」であるべきです。

相手の認識度を確認できると、紹介の仕方が全く変わってきます。
「既に知っている」のなら「どこまで知っているのか?」確認が必要です。
「他社製品で試した」のなら「どんな印象だったか?」を確認し、自社との比較を説明できます。
「見たくもない」のなら「一体何があったのか?」を確認しなければなりません。しかし「その理由が分かれば、問題解決・提案」の話をする事ができます。

いかがでしょうか?「この商材についてお聞きになった事がありますか?」と聞かないで紹介を始める事がいかに怖いことか、お分かりいただけたと思います。

残念ながら、多くの営業担当者が商談前に「相手に喋ってもらうよう気をつけて」と上司から注意されていても、本番ではいきなり説明を始めています。
恐ろしい事に上司も部下の失態に気づかず、さらに説明をつけ加えていきます。上司は同行時は、できるだけ冷静になって部下の行動を観察しましょう。

上司が落ち着いて部下の喋り過ぎをコントロールし、商談相手に喋らせ、相手の課題・問題点を聞き出す事が出来れば、たいていの物は売れます。しかし「相手の心理をコントロール」できればもっとその精度は上がります。

<イメージ&ストーリー>

3000人の営業同行の現場から」は私が3000人超の営業同行をした現場で見聞きした事例を基に記した営業スキル・営業コーチングの本です。パート1は「営業スキル」、パート2は「営業コーチング・スキル」について記しています。

その中に記した、アメリカのトップ営業が使って居るスキルのうち「イメージ&ストーリー」というスキルをご紹介します。

このスキルは日本ではほとんど使われていません。たまたま使って居る人を見かけますが、スキルとして理解せず使われているので、勿体ない事です。

イメージ&ストーリーは「相手がよく知っている状況をイメージさせるお話し(ストーリー)をする」手法です。「商材の特長と利点」を伝える前に話し「その時のイメージ」を持ってもらい、利点を理解しやすくするのです。

例えば「こんなご経験はありませんか?」と聞きます。
「よくあるよ」と言われれば「この商材があれば、その問題は解決しますか?」と商材の利点を伝えます。
相手が「困った時の気持ち」になっていれば、それは理解されます。

例えば工事業者に「病院の透析センター」で使う器具を売りこむとしましょう。
「透析センターの患者がこれで楽に過ごせますよ」と伝えても、工事業者が「透析センターで何が行われているのか」を知らなければ、利点は通じません。

そこで、工事業者の「商材に対する認識度」確認もかねて「透析センターに行かれた事がありますか?」と聞いてみましょう。
「はい」という返事の場合でも気をつけましょう。「そこで患者が数時間じっとして過ごしている」事まで知らない事が多いのです。

この場合「数時間じっとしている」と伝えるだけでは利点は伝わりません。
「数時間じっと座っていろと言われたら、どうでしょうか?」と聞いてみましょう。相手は患者の気分をイメージするでしょう。こうなると商材の利点が伝わりやすくなります。

資料を見せる場合も同じです。「これをごらんになっていかがですか?」と聞くだけの営業がほとんどです。相手は興味がなければじっと見ているだけで、返事もしません。営業の言いなりにこちらの考えを話す事に不快に思っているかもしれません。
「このようなトラブルに合われた事がありますか?」「仕事で移動中にこんな経験はありますか?」
など相手が「ある、ある」「そうなんだ。よくこういう事ってあるよね」と言えば、その時のイメージを頭の中に浮かべており、その面倒くささや、ストレスを感じる事を思い出します。
そこで商材の利点を伝えれば「なるほど、これがあれば随分違うな」と感じてもらう事ができます。

「病院の事務長は診療報酬改定時期はお忙しいと聞いています」と話しを始めると、うんざりしたような顔つきで「分かっているなら聞くな」と言わんばかりにどれほど大変か話されます。
この場合、もうこれで十分「忙しさ」を頭の中でイメージされていますので、「そうですよね。この時期は大変でしょう。そこでこのようなご提案があります」と伝えます。
イライラしたイメージを頭に浮かべていますので、「それが解決する提案」は受け入れやすい心理状態になっているのです。

このようにして、相手に「こちらが伝えたい状況をイメージさせて」から商材の特長と利点を伝えます。手間暇がかかるようですが、これが相手の心理をこちらに向けさせ、利点を腹落ちさせる、一番効果的な方法なのです。

 

外資系のトップ営業マンが使って居るこれらのスキルについては、「3000人の営業同行の現場から」(Amazon電書籍Kindle。税込み各1,100円)にてお伝えしています。パート1は営業スキル、パート2はコーチングが中心に記されています。「Kindle Unlimited(読み放題)」を選択されている方は、無料でお読み頂けます。