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営業支援事業

誰でも簡単に身に着く営業トーク: 「世間話し」はしてはいけません

 

営業トークで苦労している人から「何を話したらよいか分からない」「どうやって関係を築いたらよいのかわからない」と言う言葉をよく聞きます。
「最初は世間話から入れ」と指導している上司をよく見かけますが、「世間話が難しくて、できない」と言う方も多いようです。

私は研修で「アイス・ブレイキング」というスキルをお伝えしていますが、これを「世間話し」と誤解して伝えている営業マニュアルや上司の方が多く居ます。
しかし、「世間話し」はむしろ逆効果なので、初対面の人にはすべきではありません。二回目以降の訪問でも正しいアイス・ブレイキングをするようお勧めしています。

一般に行われている「世間話し」では、商談に入る前に次のような話題を振っています。

  • 「最近あたたかくなりましたね」
  • 「昨日の野球はご覧になりましたか?」
  • 「この後お昼に行くのですがこの辺りに美味しいお店はありませんか?」
  • 「体調はいかがですか?」
  • 「お花見にはもう行かれましたか?」

このような当たり障りのない話しですが、基本的に相手の返事に対して営業担当者は次のように返しています。

  • 「やっぱりそうですよね!」
  • 「すごいですね!」
  • 「なるほど!勉強になります」

「自分がこのアプローチを初対面でされたらどんな気持ちをするか」を想像してみましょう。

営業出身のあなたなら、次のように感じるのではないでしょうか?

  • 「ああ、定石通り、お約束の世間話からこちらが話しやすくしようとしているな」
  • 「初対面の私に、無理矢理そんな話を振られても、返事に困るなあ」
  • 「まだ経験の浅い営業か・・・がんばっているな。しかし天気や野球の話しなど、時間の無駄だなあ」

これらは下手をすると「世間話し」というより「おべっか」「おべんちゃら」「よいしょ」「ほめすぎ」「お追従」になってしまい「この営業は軽いな」「調子いい話ばかりして、信用できないな」等、相手に良くない印象を与えかねません。

私が日々営業同行していますと、初回訪問でこのような話しをしている人がいますが、ほとんど会話は弾みません。なんとなく、お互いぎごちない雰囲気になってしまう事も多いのです。

このような経験から「商談が怖い」「何を話してよいか分からない」「営業トークができない」という心理状態になってしまう営業も多く見られます。

 


そこでお勧めしたいのは、「初回訪問では、無理して最初に世間話をする必要ない」という事です。

むしろ「名刺交換の後はいさぎよく、初回の商材説明に入るべき」です。
商談で出た話題、相手の様子から「アイス・ブレイキング」のネタを見つけ、「商談中や商談が終わってからそれを使って相手の心を解きほぐす」方法が非常に効果的です。

「アイス・ブレイキング」とは直訳すると「氷を解かす」つまり、「堅い人間関係を解きほぐし、相手に心を開いてもらう」スキルです。
これは「世間話し」とは全く別物です。

「正しいアイス・ブレイキング」では、次のようなトークで相手の会社、相手の個人的な事に関心を持っている事を相手に伝えます。これらは初回訪問でも使えます。


 

<相手の会社に関心を寄せるトーク>

以下のトークで「うちの会社について良く知ってくれている」という印象を与えます。「うちの事を何も知らない営業」とでは、与える印象の差は、計り知れないほど大きいです。

  1. そう言えば、最近〇〇の案件を受注されましたね。おめでとうございます。(FBや企業情報、IR情報などで相手の業績を事前に調べておく)
  2. 〇〇にあるお店に先日立ち寄った時に感じたのですが、あのコンセプトは随分斬新で、冒険と感じました。社内でゴーサインが出るのは大変だったのではないですか?(あえて「問題だったのでは?」と伝える)
  3. 〇〇スーパーの△△店での商材の見せ方を拝見しました。食材が映える照明になっていて、とても美味しそうに見えていました。(正直な感想を伝える)

 

<相手の個人的な事に関心を寄せるトーク>

人は「自分の業績、過去の経歴など」に関心を向けられると、つい「自慢話・武勇伝」を話したくなります。するとすっかり「肩書がはずれてしまい」個人的な話しができるようになります。つまり「心が開かれる」のです。

  1. 今期の業績、特に〇〇部門が飛躍的に伸びているのですが、あれは△△さん(商談相手)が担当されたのですか?(担当者の業績であることを事前確認しておく)
  2. 失礼ですが、ずっとこの部署においでですか?(転属、転職していれば前の部署、前職での経験を聞き出す)
  3. 失礼ですが、私と同年配にお見受けしますが?(同年配に通じる話題に持っていく)
  4. 共通の話題を見つける。(出身地、出身校、関心事、趣味等)

1,2は個人の業績・経歴です。学生時代の部活での「栄光の歴史」も「自慢話・武勇伝」につながります。
3,4については非常に強力な話題になります。

 


これらのトークは商談前ではなく、商談中もしくは商談が終わってから用いると効果的です。
相手も「心は未だ開いていない状態」であっても、ある程度喋った相手なのでこのような話をされるとつい口がなめらかになります。

口下手な方は「これらを聞き出すのが大変だ」と言うかもしれません。
コツは相手の表情や仕草をしっかり観察する事です。これらの質問をして相手が少しでも笑顔になったり、嬉しそうにしたら、間違いなく話したい話題です。

あとは、相手の言葉や反応に合わせて次のように反応するだけです。そしてひたすら相手の言葉を繰り返し、「それで?」と聞くだけで話しは盛り上がります。口下手な人でも簡単にできます。


 

  • 営業:案件受注、おめでとうございます。
  • 顧客:ありがとう。よく知ってますね。
  • 営業:IRで発表されていたので・・。
  • 顧客:あれはあれで、まあ・・
  • 営業:あれだけ大きいと色々大変なんでしょうね・・
  • 顧客:それがね・・(何か喋るかもしれません)

  • 営業:あのコンセプトは随分斬新で、冒険と感じました。ゴーサインが出るのは大変だったのではないですか?
  • 顧客:あ、行ってくれたんだ。まあ、あれはね。それなりに・・
  • 営業:やっぱりそうですよね・・
  • 顧客:実はあれについては・・(何か喋るかもしれません)

  • 営業:食材が映える照明になっていて、とても美味しそうに見えていました。
  • 顧客:あ、見てくれた!違って見えた?
  • 営業:思わず買いたくなりました。
  • 顧客:買ったの?
  • 営業:いえ・・仕事中だったので・・。
  • 顧客:なんだ、買ってくれなかったの?(気さくな話が展開出来るかもしれません)

  • 営業:あれは△△さん(商談相手)が担当されたのですか?
  • 顧客:うん。まあ私一人でじゃないですけどね。
  • 営業:それでもあの業績をあげるのは、大変だったでしょう。
  • 顧客:やっぱり〇〇の件では苦労しましたよ。(苦労話を聞く事が出来るかもしれません)

  • 営業:失礼ですがずっとこの部署においでですか?
  • 顧客:いや。1年前に転職で。
  • 営業:そうでしたか、1年ご苦労された事でしょう。同業からですか?
  • 顧客:違うところからだけど、している事は変わらないから・・。
  • 営業:異業種からなら1年間、慣れるのは大変だったのでは・・・。
  • 顧客:社内のルールとかは違うからね・・(色々話し始めるかもしれません)

  • 営業:私と同年配にお見受けしますが?
  • 顧客:何年生まれですか?
  • 営業:○○年です。
  • 顧客:それじゃ私が1年上だね。ふふん。(自分が年上だと分かると、先輩風を吹かせ始める)
  • 営業:先輩です。でも私よりお若く見えます。
  • 顧客:私は苦労が足りないからね。(案外ここから苦労話が聞けるかもしれません)

  • (共通の話題を見つける)
  • 営業:失礼ですが、少し関西なまりがあるように感じるのですが・・(出身地の話しへ)
  • 営業:随分立派な体格をされていますが、スポーツは格闘技系ですか?それとも今人気のラグビーですか?あ、いえまだ答えを言わないで下さい!当てさせてください。(学生時代のスポーツネタへ。これはとても効果的です。「わかるかな。むつかしいよ」とニヤニヤし始めたら心を既に開いています。同じスポーツをしていたら最高です。それについて知っていれば共通の話題になります)

私はこの「共通の話題を見つける」のが得意です。そしてこれは「相手の心を開くのに」とても効果がありますので、ぜひお試しください。

 

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