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営業コーチングの問題:部下は上司のサポートに気づかない

よく同行で見かける面白いフィードバックがあります。

上司は商談中部下のトークにサポートを入れます。私は同行中にメモをとって必ずその数を数えます。そして商談後のフィードバックで部下の方と次のような会話をします。

■ 池田「今日は上司から色々助け船が入りましたね」
■ 部下「はい、助かりました」
■ 池田「よかったですね。一番助かったサポートは何でしたか?」

ここで100%の方が固まります。すぐに答えられないのです。そうです、メモを取っていないからです。気の毒なのは上司です。「今日は我ながら良いサポートができた。顧客も部下も喜んでくれていた。」とニコニコ顔でした。「きっと私のサポートに感謝してくれるだろう」と思っていたのに、部下の口からはそれが出てこないのです。

ある時、営業担当役員が17回もサポートをされました。素晴らしいサポートで盛り上がらなかった商談は一気に前向きな雰囲気に変わり、案件を頂けました。それなのに、部下は「助かったサポート」を思いだせなかったのです。そこで、ヒントも出しながらよくよく考えてもらうと、なんとか「3つサポートをいただきました」と部下は答えました。ショックを受けた上司は「君、どういうことだ?私は10回もサポートしたのに。それに気づかなかったのか?」とほぼ怒りモードになってしまいました。

さて、お気づきの通り、私のメモではこの役員は17回サポートしたのに、部下は3回、役員は10回という認識です。なぜこれほどの違いが起こるのでしょうか?

前の記事で記しましたが「経験豊かな上司は無意識・本能的にサポートを行う」ので、「自分が行ったサポート内容を覚えていない」のです。

また部下は商談に夢中で、メモをすることを忘れているので商談直後のフィードバック(振り返り)の時間ですら、上司がサポートしてくれた内容を思いだせないのです。上司のサポートは「部下の不十分な点」「部下が学ぶべき事柄」です。
上司としては「私のナイストークから部下は学んでくれたに違いない」と思っていますが、「思い出せない」と言う事は部下は何も学んでいないのと同じなのです。

私が17回記録した役員のサポートを役員自身が10回と言ったのは、「無意識・本能的」に行ったサポートなので、役員本人も7回分忘れてしまっているのです。つまり「役員自身も『部下に伝えたい、コーチングしたい事』を忘れてしまっている」のです。忘れてしまったことを「商談後に部下に思いださせ、教える事」はできません。

せっかくのコーチングの機会なのに「部下はメモしないのですっかり頭から消えている」「上司は教えるべきことを忘れてしまっている」のでは同行は全く無駄になってしまいます。

どうすればよいのでしょうか?

 

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