Coaching

コーチング事業

部下自身に考えさせるコーチング手法

私は毎日のようにどこかの企業の営業担当者と営業マネージャーの方々と同行をしています。その中で必ずマネージャーの方々に確認することがあります。それは「部下へのアドバイスを一方的にするのはやめましょう」ということです。

全てのマネージャーの方が犯してしまう過ちですが、商談中に気づいたことを「あそこはああした方がよい」「次までにこれこれを準備しておくように」「あの話し方はダメだ」などと一方的に伝えてしまっています。

皆さんご自身はどうでしょうか?どうしてこの方法はよくないのでしょうか?

最近の小学校の教育では「さいたま方式」という教え方が推奨されているそうです。NHKニュースで報道されていたのですが、その教育方法が私がアメリカで学んだコーチング手法と同じなので、とても興味深く感じました。

それがまさに「生徒自身に考えさせる」という手法で私が営業コーチングでお伝えしている手法なのです。

さいたま方式では生徒は実力テストを毎年何度か受けます。その結果、成績やスキルがどれだけ伸びたかを個別に追跡調査ができるようになっています。そして教師が生徒によく考えさせたクラスほど成績が伸びており、成績が伸びていないクラスの教師は、あまり上手に生徒に考えさせていないことが分かったそうです。

さいたまでは「成績が伸びていないクラスの教師」の教え方を先輩教師が現場で確認し、その上で「生徒に考えさせる教え方」を伝えていきます。これにより教師のスキルが上がり、生徒の成績も上がるようになるそうです。

営業も全く同じです。上司は経験、知識が部下より豊富ですから、つい部下に答えをすぐあげてしまいます。部下もそれで安心してしまい「上司の言う通りにしていれば大丈夫」と自分で考えず、いつも上司に頼る依存体質になってしまいます。

私は同行商談後の振り返りで必ず「フィードバック」を行いますが、次のようなフレーズを使うことで上司も楽に部下に良い示唆を与えることができます。

「今の商談、どうだった?」
「思っていたような流れで商談、組み立てられた?」

この表現と「うまくいったじゃない」「まあまあだったね」と商談後すぐに伝える方法との違いがお分かりでしょうか?

上司からほめてしまうと、部下は「あれでよかったんだ」と思い込んでしまいます。反対にいきなり「どうしてあんな話をしたんだ?」「資料を持っていなかったのか?」など責める言葉を聞かされたらどうでしょうか?部下なりに考えたアプローチだった、あるいは上司の知らない背景からあのような話し方になったのかもしれないのに、いきなり責められると「上司は何もわかってくれない」と部下は不信感を持ってしまいます。

最初のような聞き方で部下自身の感想を聞き出しながら、フィードバックをしてあげると部下自身で振り返り、自分の問題点を理解し、気づき、把握していくようになるのです。

 

この記事の詳細を「3000人の営業同行の現場から」(Amazon電書籍Kindle。税込み各1,100円)にてお伝えしています。パート1は営業スキル、パート2はコーチングが中心に記されています。「Kindle Unlimited(読み放題)」を選択されている方は、無料でお読み頂けます。