Coaching

コーチング事業

自分の頭の中の考えを相手に伝える

頭の中で思いついたこと、考えている事柄を言葉にして相手に伝えるのはなかなか難しいです。

外国人に道を尋ねられた時、英語で答えようとすると言葉がなかなか出てこないので、つい手がいつもよりたくさん動かないでしょうか?

これは「人が頭の中にある考えを言葉にしようとする時に起こる現象」です。
脳の「言語野」で生まれた考えを口にしようとするのですが「日本語では伝えたいことはわかっている」のに、思うように英語で表現できず、「もどかしくなって手が動いてしまう」ようです。みなさんもそのようなご経験はあるのではないでしょうか?

これと同じことがコーチングでも起きます。

研修で上司の方が部下の方に「コーチングしようと思っている事」を伝えようとするのですが、言葉にできず、手がむやみに動き「あー、えーと。つまりなんだな・・・」と言いながら、伝えるべき言葉を出すことができない場面をよく見かけます。

フィードバックや「商談後の振り返り」をした事がない上司にとって、「コーチングで伝えたい事」を言葉にするのは非常に難しいのです。

私は商談後、上司の方に「どうしてあの場面であのようなアプローチをされたのですか?」と聞くことがよくあります。もちろん、部下の方に伝えてほしい素晴らしいスキルがあったからです。
すると「ああ、なんとなくです」「カンですね」と言われます。部下にとっては、これだけでは何のことか分かりません。
しかし必ず意図があるはずなので、さらに聴きだすと「相手はこちらの話を勘違いしている」「別の真意がある」などと「本能的に上司は気づいて」いて、「それを確認するため」あるいは「それを解決するためのアクションを取っていた」事に上司自身も気づき始めます。

つまり上司自身も「無意識・本能的・アドリブでサポートしたこと」は部下にその意図や経緯、理由を説明できない事が多いのです。

説明されない事は部下は「いつの間にか商談相手は納得していた。さすが課長だ。」という状態で終わってしまいます。これでは、上司のスキルは伝わりません。

同行が終わった後は「いやあ、うまくいってよかったね」で終わってしまい、コーチングの機会はありません。

これがよく言われる「俺の背中を見て学べ」状態です。

私がアメリカで学んだ衝撃的な言葉に「部下は上司が思っているほど上司の言動から学んでいません」というものがあります。きちんと言葉にして教えてあげないと、「これくらい言わなくても分かっただろう」という思い込みは後で大きな後悔を生むことになります。

 

上司は、普段から「自分が今考えている事はなんだろう?」「部下に伝えるべきことは何だろう?」と考える癖をつけておく必要があるのです。

 

この記事の詳細を「3000人の営業同行の現場から」(Amazon電書籍Kindle。税込み各1,100円)にてお伝えしています。パート1は営業スキル、パート2はコーチングが中心に記されています。「Kindle Unlimited(読み放題)」を選択されている方は、無料でお読み頂けます。