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コーチング事業

営業コーチングスキル:部下のスキル不足を補足、改善する

営業同行で行う事は以下の3つです。色付けした部分は別の記事で詳細を読むことができます。

上司のスキルの継承
商談で得た情報の確認、すり合わせ
③商談中に感じた部下のスキル不足の改善

最後の「商談中に感じた部下のスキル不足の改善」について考えてみましょう。

商談中、上司は必ず部下のトークを横からフォローします。それは「部下のスキルが不十分」で「上司として補足しなければならない」と感じたからですね。それはつまり「この部分は部下に学んでほしい」という事です。コーチング、指導が必要と言う事です。

次のように商談中にコーチングを行う方も居ます。

「あ、そちらの資料よりあの資料をお見せしたら?写真の載ったあの資料・・」この一言で部下は気づき、それをとりだして見せます。

ところがこの場合、この上司のサポートの意図を「商談中に認識し、学習できる者」と「その場限りですっかり忘れてしまう者」に分かれてしまうのです。前者の場合、商談後に「私の今日のサポートでどれが助かった?」と聞くだけで「あの資料、助かりました」と認識している事が確認できます。優秀です。きちんと学べる部下です。ところが後者の場合、なかなかそれを思いだせません。そうなると「上司のサポートに気づかない部下」としての対応が必要になり、指導が必要です。

上司のサポートの意図を「商談中、あれほど分かりやすく伝えたんだ。分かってくれているだろう」と思いこむのは危険です。「部下は上司からほとんど学んでいない」のです。

そのためにもPost-Call(商談後フィードバック)では、丁寧に上司の行ったサポート、つまり「改善の必要な場所」について認識させる必要があります。しかし大切なことは「部下自身に考えさせる」ことです。「部下自身に気づかせなければ、頭に残らない」のです。そのため、上司がサポートした部分について次のようなフィードバックは部下の心には残らないのです。

「さっきの資料だけど、あれより私の出した資料の方が相手は腹落ちしていただろう?今度からはあちらの資料を使う方がよいね」

これは「上司の考えを一方的に部下に伝えている」にすぎません。昔の学校の先生がパワハラ指導をしていたのと変わりません。部下の心に残らないでしょう。それでは、次のように言い替えてみてはどうでしょうか。これは部下自身に間違いを気づかせるスキルを使ったコーチングです。

・上司「今日の商談で私のサポートで助かった事はあったかな?」
・部下「えー、特に思いだせませんが」(サポートに気づいて居ないのか思いだせないのか、この段階では分かりません)
・上司「そうか・・。今日はどんな資料を見せたかな」
・部下「新商品の紹介パンフレットです」
・上司「あれを見せた時の反応はどうだったか覚えているか?」
・部下「まあ、自分が説明しましたんで。理解はしてもらえたかと・・・」(自分の資料が不適切で、相手に伝わらなかったことに気づいて居ないようです)
・上司「どの辺りの反応で理解されたと感じた?」(上司は部下の誤解の原因を探っています)
・部下「ええと。どうでしょう・・。理解したと思うんですが・・」(相手の前向きな反応を思いだせない様子で、次第に相手が本当に理解したのかを考え始めている)
・上司「食いついた様子はあったかな?」(上司は、前向きな反応がなかったことを理解させようとしています)
・部下「そう言われれば特に食いつきはなかったようですね。変だなあ・・・」(上司のサポートに気づかないのでこの辺りでヒントを出します)
・上司「あの時、私が横から君に口出ししたことは覚えている?」
・部下「あ、はい。別の資料を出すようにと・・」
・上司「どんな資料だった?君の資料とはどう違った?あれを出した相手の反応は覚えている?」
・部下「写真付きで分かりやすいものだったので『ああ、こうやって使うのか』と相手が反応したのを覚えています」(自分で気づき、相手の反応を思いだしました。これであの資料の価値が理解できました)

このようにして部下自身に気づかせ、コーチングすることができます。

 

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