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2019.08.01コーチングスキル関連

パワハラ・モラハラをなくすには「部下の人生を豊かにする」

アメリカのマネージャー研修で興味深い話を聞きました。

上司の責任は部下の育成」と別の記事に書きました。
その後のセッションで「部下育成で上司に期待される事は何でしょう?」と聞かれました。これには 「自分のスキルの継承」「部下の才能に合わせた育成」「部下の個性を生かす」など 、色々な意見が出ました。

講師の答えは意外にも「上司は部下の人生を豊かにする責任がある」と言うのです。そして「これこそがパワハラ・モラハラを無くすための極意です」と言い切りました。

私がこの研修を受けたのは、30年ほど前の事です。その頃にアメリカでは既に「パワハラ・モラハラをなくす」事についての研修が行われていたのですね。
それにしてもどうしてこの答えになるのでしょうか?

日本の研修で日本人のマネージャーの方々に「みなさんには部下の人生を豊かにする責任がある、と言われたらどう思いますか?理解できますか?」と聞きますと、みなさん当惑した顔で「そのようなことは考えたこともありません」「そこまで引き受けられない」「部下の人生まで責任は持てない」と答えます。

そこで「アメリカでは教師も同じことを学ぶそうですよ。それならどうでしょう?『教師は生徒の人生を豊かにする責任がある』と言うのは?」と聞くと、「それなら分かる」「先生次第で生徒の人生が変わる例はよく聞く」「自分の子供も良い先生に巡り合ってから、勉強好きになった」などのコメントが出てきます。
「教師とはそれほどまでえに、生徒の人生に大きな影響力を与える職業」という結論になりました。

そこで「会社の部下についてはどうでしょう?同じように考えると、上司は彼らの人生に影響力を与える立場でしょうか?」とあらためて聞くと、みなさん今度はうなずきます。
つまり上司は良きにつけ、悪しきにつけ部下の人生に影響を与えるということなのですね。

「それでは、部下の人生に悪い影響を与える上司の例は?」と聞くと、すぐに答えが出てきます。これは分かりやすいですね。
部下を追い詰め、ストレスを与え、うつ病にしてしまう上司・・・。などたくさんの事例が出てきます。

「部下の人生に良い影響を与える上司は、どのような事をしてくれますか?」という話し合いになると、最終的に「レコグニションを適切に部下に行う」手法にたどり着きます。

部下に関心を示すレコグニションを行う上司は、部下の人生、生活、家庭にまで関心を示すようになります。彼らの子供の成長にも関心を示してくれる上司は、父親・母親でもある部下の人生をつぶすようなことはしません。
このような上司はパワハラ・モラハラをすることもないのです。


これらの詳細については拙著「3,000人の営業同行の現場から ~アメリカのトップ企業が使っているのに日本では使われていない営業&コーチング・スキル実践集」 「パート1(営業編)」「パート2(コーチング編)」 に記されています。書名クリックされますとAmazon電子書籍Kindleの画面に移動します。